研究室紹介
実践アフリカ開発研究室では、アフリカのサハラ砂漠より南(サブサハラアフリカ)における作物生産の向上と安定化に貢献するため、作物遺伝資源の環境応答や栽培技術開発に関する研究および研究成果に基づく社会実装の実現に向けた活動に取り組んでいます。
サブサハラアフリカのイネ生産性向上に向けた栽培学的研究
サブサハラアフリカにある多くの国では、コメの需要増加に対して国内生産が追いついていません。コメ増産はサブサハラアフリカの食糧安全保障にとって重要な課題です。イネの生産性を向上するためには、様々な生物的・非生物的ストレスの影響を受ける現地の栽培環境に応じた品種改良と適切な栽培技術の開発が必要です。実践アフリカ開発研究室では、共同研究のために構築したケニア農畜産業研究機構の拠点を活用し、現地の栽培環境と現行栽培技術の解析、現地に適した新品種の開発、様々な有用形質を有するイネ品種の環境応答と形質発現の評価、品種の能力を引き出す栽培技術の開発、技術普及のための社会経済的条件の解明など、サブサハラアフリカの稲作の安定化と生産性向上の実現に向けた総合的な取り組みを行っています。実践アフリカ開発研究室が中心となって実施しているアフリカ稲作開発に関連する研究プロジェクトの詳細については、以下のホームページをご覧ください。
有用遺伝子導入イネ系統を使ってケニアで栽培試験を行っています。
ケニアでの圃場試験は現地スタッフと協力して実施します。
ラボでの実験も行います。
必要に応じてフィールド調査も行います。
食糧援助(KR)の見返り資金、SATREPS(JICA/JST)、aXis(JST)などにより整備した、ケニア農畜産業研究機構ムエア支所の研究施設(ここを拠点にして共同研究を行っています)。
aXis(JST)によりケニアの3か所に整備した試験用水田を利用して多環境栽培試験を実施しています。
人工ストリゴラクトンを用いた根寄⽣雑草「ストライガ」防除技術の開発
根寄生雑草「ストライガ」は、ソルガム、トウモロコシ、陸稲等の主要穀物に寄生し、アフリカの穀物生産に甚大な被害をもたらしています。ストライガの種子は宿主植物の根から放出されるストリゴラクトンと呼ばれる植物ホルモンに反応して発芽します。しかし、宿主に寄生しないと生存できません。ストライガのこのような性質を利用して、土壌中のストライガ種子に人工ストリゴラクトンを施用し、強制的に発芽させて枯死させる「自殺発芽」と呼ばれる方法が注目されてきました。実践アフリカ開発研究室では、共同研究者が開発した安価で、極めて高い活性を持ち、ストライガの発芽にだけ作用する革新的な化合物「スフィノラクトン-7(SPL7)」を利用したストライガ防除技術の開発に向けて、ケニアの圃場におけるSPL7によるストライガ発芽誘導の実証、効果的な施用方法の検討、ストライガの遺伝的多様性の評価、被害実態の解明などに学内外の研究者と共同で取り組んでいます。
ストライガに寄生されたトウモロコシ畑